コミュニティーインフォ
私はコーンバイオプシーの結果、子宮頚癌のステージ1a1と判断された昨年5月に、子宮全摘出、両卵巣、両卵管、リンパ節の摘出、そして膣も15ミリ短くなりました。しかし、こんな大手術をしたのに癌はまったく見つかりませんでした。私のケースは腫瘍学会で検討されたとの説明をうけたのでセカンドオピニオンをもらわなかったのですが、21世紀にもなりまだこんな事があるのでしょうか?(38歳女性)

質問の方ですが、子宮頸癌の誤診と解釈されているようですが、コーンバイオプシーで癌の診断がついている以上、誤診ではなく、ポイントとしてはその後の治療方針をどうするかという点だと思います。

子宮頸部というのは、子宮の入り口にあたる部分で、ここにできる悪性腫瘍は、欧米人と比較して特に日本人に多く、スクリーニングの検査として、子宮頸部細胞診(よくいうパップスメアー)が行われます。もしこの細胞診で異常があったら、組織診(バイオプシー)を行うのですが、組織の検査で悪性細胞が基底膜以上に限局しており、浸潤がない場合は、上皮内癌といって、転移の恐れはないと考えられます。逆に、基底膜を破り、癌細胞の浸潤が認められた場合は、本物の癌なのですが、その浸潤の範囲を決定するためにコーンバイオプシーといって、子宮頸部を円錐形(コーン)に切除する処置が行われます。このコーンの標本で浸潤の範囲が深さ3ミリ、幅5ミリ以下のものをステージ 1a1, 深さ3ミリ以上5ミリ以下、幅7ミリ以下のものをステージ1a2, 癌が子宮頸部に限局しているけれども、上記以上の浸潤が認められた場合はステージ1bとなります。ちなみに、子宮頸癌のステージは、ステージ4まであるのですが、手術の対象になるのは精々ステージ2aまでであり、それ以上は、放射線、化学療法での治療となります。もちろん5年生存率もステージ1の90%からステージ3以上の35%というように、徐々に悪くなります。子宮頸癌の拡がり方ですが、頸部から上方の子宮体部、側方の子宮頸部傍組織、そしてリンパ節転移が考えられます。ですから、がんの診断がついた時点で、どこまで手術でとってくればよいのか、これはただ単にとりきれるかどうかだけではなく、その後の再発、ひいては生存率を鑑みて、決定して行く事になります。

質問の方のステージ1a1ですが、一般的にはリンパ節転移は1%程度なので、スタンダードな治療としては、単純性子宮全摘術が行われます。例外的に、年令が若く、妊娠、出産を希望されている方の場合、コーンバイオプシーのみで、注意深く経過観察をするケースはあります。卵巣、卵管については、患者さんの年令、卵巣癌のリスクを考慮しての判断になりますが、子宮頸癌の治療とは直接関係ありません。ただ、閉経が近い方、閉経後の方では、卵巣癌の予防のため、卵巣、卵管の摘出を行った方が望ましいとされています。さらに、この方の場合、単純性子宮全摘ではなく、広汎性、あるいは準広汎性子宮全摘術といわれる術式だと思いますが、この手術法の選択は、癌細胞の浸潤のみではなく、その組織形、欠陥浸潤の有無等で、症例検討会(腫瘍学会ではなく)で決定されたものだと思います。どの術式がベストであるかというのは、ある程度は意見が分かれる事もあり、そのために症例検討会を行うのですが、いずれにしても、間違った治療であるとはいえないと思います。ここに書きました事はあくまで、質問事項に基づいて、一般的な子宮頸癌の治療にのっとって書いたものです。

回答:安西弦先生(NYUメディカルセンター/NY)
212-263-8682

 

 

[HOME] [サイトマップ] [会社概要] [広告掲載についてのお問い合わせ] [Contact Us] ©1995-2008 American Dream Publishing. All rights reserved