竹内玲子 (作家)
専門:作家
年齢:n/a
在米暦:15年

1989年渡米。NYU英語コース、パーソンズスクールオブデザインを経て、現在はフリーランスのグラフィックデザイナーとして活動中。2002年9月に初の著書となる『笑うニューヨーク DELUXE』を講談社文庫より出版。今年5月には第二弾となる『笑うニューヨークDYNAMITES』を上梓し、出版記念サイン会を日本にて行った。
現在、愛犬のシベリアンハスキーの「チョビ」(コミック『動物のお医者さん』好きか?)と二人暮らし。何でも「チョビ」のほうが男の子にモテモテなのが口惜しいとのこと。

 孤独も快感。そこからしか生み出せないものがある

北杜夫と文通した中学時代

 本誌で「ニューヨーク・ヘンチクリン日記」を連載中の、リンコこと竹内玲子さん。たった1回、しかも初めて参加したシングルズ・パーティでの出来事を、毎週笑いをそえて報告してくれている。14年に及ぶニューヨーク生活のドタバタをまとめた著書『笑うニューヨークDELUXE』は紀伊国屋書店でベストセラーとなり、この春には第2段『笑うニューヨークDYNAMITES』を出版。信じられないようなドジや勘違いのてんこ盛りに「竹内玲子とは一体、どういう人なのか」という問い合わせがアメ★ドリ編集部にもたくさん寄せられている。皆さんの関心にこたえるべく、今回は竹内玲子さんにご登場いただいた。

 「コピーを取りに行った先でお金のないことに気づき、銀行に行ったら残高が6ドルしかなかった」「貧乏のあまり、飼っている犬とともにどんどん痩せていったら、友達がドッグフードを差し入れしてくれた」??。普通の人なら泣けてくるような話でも、彼女から聞くと何故だか笑ってしまう。竹内玲子さんはそういう人だ。つらいことも悲しいことも、すべてを笑いに変えてしまう。そしてその笑いは、どことなく暖かい。「もともと楽天的な性格で、落ち込んでも一日で立ち直れる性格」と竹内さん。笑いに満ちた人生は、子ども時代から続いている。

中学生のとき、小説家になりたいと思い立った。早速、キティちゃんの原稿用紙にエッセイをしたため、当時大好きだった作家の北杜夫に送った。自分の書くエッセイが面白く、笑いながら筆を進めたという。中学生の大胆な行動に、大御所は丁寧に返事を書いてくれた。それに味をしめた彼女はそれから毎週、エッセイを送りつづけたという。シャーロットホームズならぬ「シャーベットホームの冒険」というミステリーに挑戦したこともある。中学生の夢はやがて、小説家から画家へと変わった。「小説家を目指すのはやめました。これからは画家を目指します。さようなら」。なんともあっけない手紙を北氏に送り、二人の文通は終わりを迎える。大御所からは「新しい夢を応援する」との返事が届いた。

 ミュージシャンを志したこともある。ビートルズが大好きで、大人になったら自分も金髪になると信じて疑わなかった。当然、英語も話せるようになるものと思い込んでいた。さらにいえば、自分はポール・マッカートニーと結婚できるものと確信していた。

 ところが大人になってもろくに英語は話せない。ポールにも会えない。これはおかしいと、大学を卒業してしばらくしてからアメリカに渡った。NYU英語コース、パーソンズスクールオブデザインを経て英語は話せるようになったが、「いまだポールとは会えていない」。


生きる喜びと悲しみ

 数年前、大好きなミステリー作家が募集していたパロディ作品に応募したところ、高く評価された。これがきっかけとなって出版社から声がかかり、『笑うニューヨーク』の出版へと道が開けた。今は恋愛小説を執筆中だ。いつかライターとして日本とアメリカを行き来できる生活ができたらと、思う。「がむしゃらに努力したわけじゃないけれど、夢って願いつづけていると叶うもの」。彼女は言う。

 だが、ニューヨークで一人生きていくことは必ずしも楽しいばかりじゃない。ずっとフリーで仕事をしてきた。何度も契約打ち切りの悲哀を味わった。家賃が払えないと頭を抱えたこともある。天気のいい日に一日、一人家で過ごすことも珍しくない。将来どこでどのような生活をしているのか、何の保障もない。「いつも孤独は感じてる。でもそれも快感。孤独からしか生まれないものがあるから」と彼女は言う。

 ミステリー作家は彼女の作品を次のように評価した「生きる喜びと悲しみが胸をさす」。孤独と向き合うことで初めて知る喜びや楽しさ。だからこそ、彼女が導き出す笑いには人を和ませる暖かさがあるのだろう。


 

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