本庄洋介  (米国 ITO EN 社長)
専門:米国 ITO EN 社長
年齢:n/a
出身地:東京

1966年生まれ、早稲田大学商学部卒。89年にゴルフ場開発運営の(株)グリーン・コア入社後、92年に(株)伊藤園入社。横浜東支店、商品企画部などを経てUniversity of Southern California Marshall School of Businessに留学、MBAを取得。帰国後本社、東京中央支店を経て本社執行役員兼U.S.Research Office会長(現職)に。2001年4月にはハワイ州に現地法人ITO EN(USA)INC,取締役副会長に就任、5月にニューヨーク市デラウェア法人ITO EN(North America)INCを設立、設立と同時に株式会社米国伊藤園代表取締役社長兼CEO就任、現在に至る。趣味はスポーツ全般、読書、ドライブ、食べ歩き。

カラオケ、寿司、アニメ……。アメリカに浸透した日本の文化はいくつもあるが、これから伝えていきたい文化はさらに数多く存在する。その一つが「お茶」だ。健康志向や日本食ブームを背景にお茶が注目されつつあるとはいえ、現実にはいまだお茶に砂糖とミルクを入れて飲む人が少なくないという。
  お茶を、コーラと並ぶ一般的な飲料に成長させたいと挑むのは北米伊藤園。ペットボトル入りのお茶やホットのペットボトル茶など、日本でこれまで新しいお茶の飲み方を数々提案してきた業界のアントレプレナーが北米市場に勝負をかける。
本庄洋介社長がその決意を語った。

日本のお茶をアメリカに浸透させるのは今がチャンス

★アメリカ専用の商品を開発★

伊藤園が北米で販売するのは「TEAS'TEA」シリーズ。「おーいお茶」は「Pure Green」、「金の烏龍茶」は「Golden Oolong」の名で販売。さらにアメリカ人の味覚にあった新商品3種を投入する。例えば薄めのグリーンティーに希少価値のある白茶をブレンドした「グリーンホワイト」は、北米市場だけの商品だ。「アメリカ人を対象に調査をした結果、日本のものよりも薄めが好まれることがわかった」と本庄社長は説明する。また「今アメリカではお茶のWAVEがきている。今がチャンス」と本庄社長は意気込む。
  12年前、アメリカ人に「おーいお茶」の試飲調査をしたところ、ほとんどの人が一口飲んで「まずい!」と吐き出し、その場で砂糖とミルクを入れた。寿司店のあがりにも砂糖やミルクが入っていた。それが当時のアメリカにおけるお茶文化だった。
  5年前、再び調査をしてみるとストレートで飲む人がちらほら出てきた。あがりも普通のお茶になってていた。
  そして3年前、今回の販売に向けた調査を実施したところ、お茶が普通に受け入れられた。「アメリカ人の味の嗜好が変わってきている」。本庄社長は確かな手ごたえを感じている。健康志向を反映して食べるものがハンバーガーやピザから寿司などに変わってきたことも一因だろう。ヘルシーフードにコーラは似合わない。
  本庄社長は、同様の変化を日本でも体験している。約20年前の烏龍茶ブームだ。ちょうどその頃日本で中華料理が浸透し、料理に合うお茶が求められていた。またダイエットへの関心も高まり、当時人気のピンクレディが美容のために烏龍茶を飲んでいるとインタビューで答えたことからブームに火がついた。「アメリカでも地方ではまだ砂糖とミルクを入れる習慣が残っているが、お茶に触れる機会が増えればストレートな飲み方が一般化するはず」。同社は今年を認知度アップの年と位置付け、積極果敢に攻めていく。

日本ではお茶の名門として知られる伊藤園だが、実は日本のお茶文化に新風を吹き込み続けてきたお茶ビジネスのパイオニアでもある。地域によって味の異なるお茶を標準化し、一定の品質で大量生産するという仕組みを整えた。夏には冷たく、冬には熱く飲めるようにと缶入りのお茶を提案したのも伊藤園なら、ペットボトルでの販売を始めたのも伊藤園。長時間保存しても味が変わらず、容器の下に澱がたまらないようにするなど、一本のお茶には様々な技術や特許が隠されている。そして最近はコンビニなどでペットボトルのホットティーを提案。これはアメリカでも投入を予定しているという。

★ニューヨークに本社を置いた理由★

日本でお茶市場を拡大してきた伊藤園。北米市場への意気込みも半端ではない。それは本社をNYに構えたことでもうかがえる。一般にアメリカに進出する際、食品メーカーはまずロスなどの西海岸に本社を置く。ところが伊藤園はNYを選んだ。
  「ブランドを確立するためにはインターナショナルシティに本社を置く必要がある。アメリカで言えばそれはロスでもシアトルでもなくニューヨーク」と本庄社長は説明する。
  日本料理店「会」をアッパーイーストにオープンしたのも、ブランドへの影響を考慮してのことだ。四季があるのもNYを選んだ理由だ。季節ごとに楽しみ方が異なるお茶を提案するには、暑さ寒さのあるNYがふさわしい。単に商品を販売するだけではなく、正しいお茶文化をアメリカ社会に根付かせ、自社のブランドをきちんと確立しようとする長期的戦略が根底にある。
  「やるからにはアメリカに骨を埋める覚悟」という本庄社長。出向扱いの社員は転籍させる予定で、自らもグリーンカードを取得してアメリカに永住する決意だ。「数年で帰国するのでは取引先にも失礼。相手に『あと何年いるんだ?』と訪ねられたら、私は胸をはって『FOREVER』と答える」。文化はその国の歴史や思想などと絡み合って醸成されるだけに、海外で受け入れられることは容易ではない。だが本当によいものは、国境を越えて世界中で共有したい。本庄社長の挑戦が実を結び、日本の文化が世界の文化へと昇華していく様を見届けたい。

 

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