澤田秀雄  (エイチ・アイ・エス .・社長)

「日本の固定観念を打ち壊せば チャンスは広がる」

エイチ・アイ・エス
社長

格安航空券を扱う旅行会社として急成長したエイチ・アイ・エス。起業ブームの中、 アントレプレナーの先駆者として、若い経営者から注目されている澤田氏に、今求められている人材と海外での経験について聞いた。

(聞き手:本サイト発行人 板越ジ ョージ(以下"I"))

I:私が澤田社長に興味を持ったのは、ニューヨークのエイチ・アイ・エスの方から 面接の話しを聞いた時だったんです。エイチ・アイ・エスを受けた時、ヒゲを伸ばし て長髪で面接会場に現れたけれども、そんな彼を澤田社長は採用したという話しを 聞いて、私だったら採用できるかなと思ったんですよ。結果的に彼は「ニューヨーク にはエイチ・アイ・エス」という評判を作り上げて、澤田さんの目は間違っていなか ったということを証明しましたね。

「彼の場合は頭もキレるし、英語もできるじゃないですか。ただ、ちょっと人間が変 わっているだけで、つまり個性があるということなんですよ。ウチはサービス業なの で、ヒゲと髪を短くすれば採用するよと言ったんです」

I:私はアメリカに行く時に資金作りのために3ヵ月間バイク急便をやったんです。あ の頃は守るべきものも無かったので、必死に運転して、2ヵ月目には会社の中の記録 を作る売り上げを上げたんです。でも、最初の頃は、そこの社長に冷たくされて、泣 きたくなるような場所に行かされたんです。で、記録を作った時、社長から『面 接の 時に脚を組んで、おまえはすごく生意気だったんだよ。だからちょっといじめてやろ うと思ったんだ』と言われたんです。その頃はツッパっていたんで、仕方がなかった んでしょうけど、私は澤田さんの話しを聞いて、そういう外見だけでなく、中身で人見て欲しいなと思ったのを思い出しました。

「私もツッパっているのをいじめることがありますよ(笑)。でも、それは個性を伸すという意味でですけど」

I:エイチ・アイ・エスの採用のポイントというのは何でしょうか?

「昔は明るくて、元気で、個性のある子でしたね。元気がないと仕事はできませんか ら。当り前ですけど、暗いより明るい方がいいです。私が採用していた頃は、色々な 個性のある人を採用していましたね。今は違いますよ。今は明るく、元気というのは 変わらないけれども、真面目できちんとした人ですね」

I:今でも澤田さんが採用するとしたら、とのような人を採用しますか?

「私が採るんだったら、明るくて、元気で、個性があり、人間性がいい人。あとは、 まぁ能力があれば一番いいんでしょうけど、能力はみんなそれぞれに違いますから ね。経理が得意だったり、マネジメントが得意だったり。開発能力がある人や、デー タはダメだけど交渉力は抜群とか、それは短時間の面接だけでは分かりません」

I:このサイトのビューアーのように、アメリカで就職したいという人に興味はあり ますか?

「ありますよ。何をするにしても実行というかチャレンジ精神は大事ですからね。海 外に飛び出している人は、まずその条件を満たしている。それと、広い目でものを見 ることが大事だと思うんです。一点だけを見ても、それが良いのか悪いのか分からな くなってしまいますからね。視野が広ければ何が正しくて何が間違っているのかが分 かりますから。固定観念にとらわれず、平等に広く見れる方がいいですよ。アメリ カ、ヨーロッパ、アジアと、各国ともに文化が違って、様々な考え方がありますか ら、海外にいる人はそれを肌で感じているんじゃないですか」

I:広い視野を持つというのは同感です。私も100万円貯めてアメリカに行き、サウス キャロライナで勉強していましたが、在学中に第三世界を回った時の経験が、今振り 返ってみると自分を変えたなと思います。

「じゃあ、かなりの国に行っているんでしょう」

I:気付いたら35ヵ国になっていました。大学もアメリカだけでなく、テル・アヴィ ブ大学、プーシキン大学、チャールス大学などで学びました。もともと政治に興味が あったので、ブッシュ政権時にヤング共和党に入ったり、ロス・ペローの大学会最高 責任者として地元のラジオでスピーチしたり、今思うと学生時代はめちゃくちゃです ね。でも、自分の価値観をゼロにしたいと思って海外に飛び出したんだし、結果 的に は学生時代の経験が自信になって、独立の決心もついたと思うんです。

成功にはバランス感覚が必要

I:先輩から見て、最近の日本の起業家はどうですか?

「私は若い人がいっぱい出てきた方がいいと思いますね。そうでなければ新しいこと ができないでしょう。年輩の方は固定観念がでてくるし、頭が固くなってくるから、 若い人が色々なことにチャレンジする、企業を起こす、私は非常にいいことだと 思いますよ。10人中10人が成功するとは言わないですよ。8人、9人、下手すれば10人 全員失敗するかもしれないけど、やっぱりいろんな人が出てきていろんなことをやる から、新しいものが生まれてくるんだと思います。時代が変化しなかったらいいけど、時 代は変化してますから。変化に対応できる若い人の能力が新しいことにチャレンジす る。失敗するかもしれないが、その中から成功が生まれてきますよね」

I:では、失敗するかもしれない中からチャンスをつかみ取る秘訣は何でしょう?

「そうですね。まず、健康なことですね。健康でなければ仕事をやる気力がなくなり ます。あとは運があること。実力があっても、運がないために、やってもやっても上 手くいかない人もいますから。それから経営者になるのであれば、マネジメントが上 手であることですね。企業は人次第ですから、人をマネジメントできることは基本で す。他も言ったらキリがありませんよ。先見性があって、決断力があって、交渉力が あって…とすべてが揃っていれば、と思いますけど、そうはいかないですよね。逆に、 全部揃うとダメなんですよ。経営者は3つか4つ、ある程度の能力があって、足りない ことは誰かが補っていく方がいいんです。あとはバランス感覚のいい人ですね。バラ ンス感覚がないと会社はつぶれますから(笑)。売り上げだけ上がって経理の底が抜 けていたり、経理が良くても開発がダメ、開発が良くても販売力がないのでは上手く いきません。バランスなんですよ。それは一番易しいようで、一番難しいですね。あ とは体力。同じ能力なら、体力があった方が勝ちますからね」

I:そうですね。私は若いということで、社会的なハンデがある分、体力で取り返せ るかなと思っているんですよ。10日くらい出張して、13時間のフライトでそのまま朝 9時に出社し、夜10時まで働いたりしても平気ですからね。

「ただ、無理をすると倒れますよ(笑)」

I:そうですね(笑)。

「若い人のいいところは無理がきくこと。その代わりに若い人の悪いところは無理し て倒れること(笑)」

I:私も営業で歩きすぎて脚の靱帯切りましたからね(笑)。

「無理はダメですよ。それもバランスですからね。過ぎなかったらいいんじゃないで すかね。「過ぎたるは及ばざるがごとし」ですから。過ぎる一歩手前までだったら、体力も精神力もついてきますからね。人間の体には限界がありますから、限界の一歩手前までやるのがいいんじゃないですか」

I:そうですね。胆に銘じておきます(笑)。

器用貧乏ではなく、一流を目指せ

「限度が分かるようになったら、バランスもとれますよ。能力がある若い人は、あれ もこれもと色々やるんです。で、結果が続かなくなるんです。マイケル・ジョーダン はバスケットをやったら天才的じゃないですか。しかし、あれだけ能力抜群の人で も、野球にいったら一流になれないんです。事業もよく似ていて、若い人は能力があ れば、色々なことをやるんですよ。別に1つに限らなくてもいいんですけど、ある程 度2つ3つに絞り込み、そこを深く掘り下げた方がいいですよ。なぜかというと、やが て一流のプロとぶつかる時にアマチュアだと負けますよ。バスケが上手くて足の速い 人がいて、全国大会だとバスケでも陸上でも勝っちゃうんだけど、世界大会までいく と一流と言われるプレーヤー、一流と言われるランナーにはやっぱり勝てない。草野 球をやっている間はいいんですけど、舞台が超一流になってきた時に全部をやろうと しても、それはできないんです。人間には限度があるから、将棋ばっかりやってき た奴は将棋がすごいし、かといって人間は相撲もできるし、水泳もできる、バスケッ トもできる。じゃあ、バスケットのNBAで戦えるかというと戦えないし、大相撲でや れるかというとやれない。そこそこならできますが、レベルが高くなってくるとキツ イんです。もちろん、色々な能力の人を下につければ色々できますよ。でも、特に若 い人があれこれ手を出すのは分かっていますから、かえって危険に思えることがありますね」

海外から見直す日本

I:最近気付いたことは、日本で育ってきた時に得た常識に違和感を感じるようにな っていて、ベンチャーで活躍する人と会うと、すごくフィーリングが合うな、と感じ るんですよ。

「そうですね。アメリカでもヨーロッパでも、海外に長く行ってますと、日本との違 いが見えてきますよね。海外に行くと苦労するでしょ。だから勉強になりますしね。 日本の文化とは異なる文化を知りますから…。もちろん各国で似ているところもあれ ば、違うところもあります」

I:澤田さんが学生時代に海外を回られた時、何を求めて回られたのですか?

「最初は目的は無かったですね。南米を見てみたいとか、アフリカを見てみたいと か、やはりそこの人と文化に触れてみたかったという感じで、そんな大きな目的では 無かったですね。見方や考え方の違う文化があるということが勉強になりました。日 本ではこれが正しいが、向こうではこれは正しくないというような面白い体験ができ ますよ。若い人の場合、日本で正しくないと思われていることを打ち壊すことで、チ ャンスも広がる可能性があると思います。ですから、若い内に色々なことにチャレン ジして、体験してもらいたいですね」


 

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